Data - Dia

make me sad,
make me mad,
make me feel
alright?

Data

Dia

  • Dia001:

    client-family-laboratory

    Dia.001client - family - laboratory

    米良柊子:
    診断方法に関して。
    既往歴に関して言えば、クライアントの家庭環境は両親とクライアントのみの核家族であり、両親とも経済的にも社会的にも恵まれた環境にある。
    両親の関係も非常に良く、精神衛生上問題となる要因は特に見受けられない。
    発端者の血族の病歴に関しては、両親からの情報からも、当研究所のデータベースにおいても、神経症、精神病、自殺者、血族結婚等の親類もなく、遺伝素因による発病の可能性は低く。

  • Dia002:

    no problem-negative-character

    Dia.002no problem - negative - character

    米良柊子:
    出生児後の児童期までにおいても特別なことはなく、現時点での習癖もなく、不登校などの問題行動もない。
    既往疾患に関しても同様に調査した結果、問題になるような点は見受けられない。
    無論、当研究所の附属病院に関してはこれを除外する。
    カウンセリングを行った時点で、直接本人に現病歴を聞きたかったが、人見知り的な性格であり非常にセンシティブな少女であるため、今回のカウンセリングではクライアントの心を開くべく、一般的な話に終始した。

  • Dia003:

    Nega feelings-hallucination-possible

    Dia.003Nega feelings - hallucination - possible

    米良柊子:
    現状で、母親からの話では頻繁に怖い夢を見るとのことである。
    ただし、通常の夢ということではなく、現実感が強く、どちらかといえば幻覚に近い訴えを聞かされ、病院に足を運んだとのことである。
    問題の夢だが、あまり内容に対して詳しくは語らないそうだが、突然意味不明な声が聞こえたり、無理やり目を開けられてビデオを見せられたとか、庭で遊んでいたらいつの間にか一人になった気がして怯えたりといった、児童期特有の恐怖に対する想像の産物程度のものと考えられる。
    これらの症状は今後自我が確立されるとともに、回復に向かうだろうという見方はいささか楽観的ではあるが、小児の臨床事例からも可能性の高いことである。
    また基本的にそれが治らなくても、生活に支障がないと思われるほどクライアントの受け答えは、明瞭かつ知的である。
    ただし、母親の話の中で気になったのは、幻覚とともに幻触を感じることである。
    この点は通常の児童期の精神症状としてはかなり特異であると言わざるを得ない。
    彼女の中にそうした妄想なり幻覚を抱かせるだけの恐怖のモデルがあったかどうかが重要な点ではあるが、これは今後のカウンセリングによって明らかにしていくつもりである。

  • Dia004:

    individuality-school-impression

    Dia.004individuality - school - impression

    米良柊子:
    身体所見。
    体型は小柄で痩せ型。
    少々発育不全気味なところもあるが、この年代の少女としては特に問題ないレベルである。
    服装・外見での問題点は、髪型の一点のみ。片側のもみあげだけを伸ばしており、髪を束ねている。
    よもや学校で流行っているとは思えないが、彼女なりのファッションになっているようだ。
    母親の話では、本人が好きでやっているとのことなので、彼女を理解する上で何らかの指針となるだろう。
    今後調査したい。
    おとなしい印象で、肌も綺麗である。
    その他の特記事項はない。

  • Dia005:

    communication-impression-symptom

    Dia.005communication - impression - symptom

    米良柊子:
    問診。
    表情はやや暗いものの、笑った顔のあどけなさは全くの健康な児童である。
    話し方に関しては、基本的に無口になる傾向はあるが、全くコミュニケーションが取れないほどのものではなく、控えめで大人しい印象である。
    質問等に対する理解力も十分にあり、その答えも明快で問題ない。
    注意力、集中力、見当識、思考、感情の面にもおおむね問題はないが、病状に対する質問には疎通性に支障をきたす。

  • Dia006:

    norma1-eye-therapy

    Dia.006norma1 - eye - therapy

    米良柊子:
    現段階ではいたずらに症状のことを聞くことは得策ではないので、病状に関係する事項については確認できなかったが、総じてクレバーな大人しい女の子という印象を受けた。
    母親から学校で描いた絵を見せてもらったが、非常によく描けており、美術センスはおそらく高い。
    これといって精神分析に役立ちそうな特異な点は見受けられない。
    現段階では幻覚妄想状態ということになるのだが、おそらくは全くの正常心である可能性が高い。
    病院側の身体症状の報告に関して気になったのは1点、視力が極端に良いことと対光反射が標準範囲より低いこと。
    ただしこういうタイプの児童に見られがちな貧血や、皮膚症状の異常は見受けられない。

  • Dia007:

    client-illness-decision

    Dia.007client - illness - decision

    米良柊子:
    今後の臨床上の特記事項。
    初めに、私はこのケースに関しては精神科医という立場ではなく、カウンセラーとしてクランケに接することにする。
    従って今後クランケこと、岩倉玲音をクライアントとする。
    その理由は、一つはクライアントがまだ12歳であり、感受性の強い児童期であるため、彼女の中に「自身が病気である」という認識を持たせたくない点。
    実際、今後の臨床の結果によるが、本日の面接において彼女の病状は、単なる子供の悪夢による精神的なダメージを引きずっている程度のものであり、面接中においても多少内向的な性格が認められるものの、受け答えには問題点が見られない点である。
    彼女を病気と判断したことに今更意義を唱える必要はないが、私の判断では現時点では彼女が病気ではないとさせていただきたい。
    もう一つ、私が精神科であるのと同時にカウンセラーであるため、患者にとって最適な立場を選択できることである。
    今後カウンセリング過程において、何かしら神経症および精神障害の兆候が見られた場合、カウンセラーとして精神科医に判断を委ねられるということである。
    もちろん私自身が、そのまま継続して彼女の治療にあたることも十分可能性があるが、研究の客観性を重視するなら、第三者に臨床を担当してもらい、私は引き続き研究対象として、彼女と関わることが望ましいと考える。
    当研究所でも異例なこととは思いますが、精神医療の現場の向上のための研究ということで、了承していただければと思います。

  • Dia008:

    game-sanity-complex

    Dia.008game - sanity - complex

    米良柊子:
    クライアントは非常に強力的であり、全く問題はない。
    ただし、彼女の中でまだ私への警戒心があり、全ての問題を話し合うのは難しい状態である。
    比較的時間があったので、遊技療法ではないが簡単なゲームを提案するが、12歳ということもあってあえなく拒否され、セッションに入った。
    観察者である私への個人的な興味を持っているが、これは私への警戒心の現れと思われる。
    自宅での人形遊びがクライアントの主だった日常の生活行動であり、人形に対する仮想人格を認め、そのことに対してコンプレックスを抱いていた。
    同年代の友人の少ない児童に見られる、典型的な孤独からの逃避だと思われる。

  • Dia009:

    norma1-difference-elusion

    Dia.009norma1 - difference - elusion

    米良柊子:
    クライアントの受け答えに言語感覚に特異点が認められる。
    しかしこれはいわゆる病状ではなく、むしろクライアントは言語の高度な使用ができるという証明である。
    体育と運動の違いは、事業であるかどうかであり、集団行動さらに学校という舞台では顕著に比較される状況である。
    運動が嫌いなのではなく、体育が嫌いなのは、自身への自信の欠如から来ているものと考えられる。

  • Dia010:

    pupil-delusion-possible

    Dia.010pupil - delusion - possible

    米良柊子:
    突起事項。
    クライアントの瞳孔が気になる。
    病院でのレポートの対光反射の欠如傾向もあり、アディー症候群に近い可能性がある。
    併せて活発な幻聴や被害妄想が見受けられることから、若年進行麻痺である可能性はあるが、ハッチンソンの三徴の症状はないので、極めて可能性は低い。

  • Dia011:

    therapy-advice-conflict

    Dia.011therapy - advice - conflict

    米良柊子:
    憶測での診断はタブーだが、万が一のことを考えすぐにでも随液所見をするべきだろうか。
    ご指導よろしくお願いします。

  • Dia012:

    hatred-purpose-intrapsychic

    Dia.012hatred - purpose - intrapsychic

    米良柊子:
    付属病院での診断が、クライアントに影響を与えている。
    ロールシャッハテストで検査されていたという事実が、彼女の心を既に傷つけてしまっている。
    マインドレイプとまではいかないものの、今日のセッションで彼女を傷つけてしまった。
    安易な病名予想に基づく診断は慎まなくてはいけないと、改めて自戒させられた。
    カウンセリングの意義と目的を彼女に説明し、一応の理解は得られた。
    今後彼女の中でも、カウンセリングに対する目的意識が芽生えてくれれば良いと思う。

  • Dia013:

    mother-distrust-hallucination

    Dia.013mother - distrust - hallucination

    米良柊子:
    母親への警戒心があるようだ。
    幻覚は彼女にとって現実である。
    その現実を否定した母親に対する不信感の現れかもしれない。
    現時点ではクライアントの見る現象が、知覚の異常による錯覚なのか、幻覚なのか、未だに判断がつきづらい部分がある。
    クライアントが体験した空中に映るビジョンは、天井のシミが怪物に見えるといった、パレードリア的なものよりも、さらに創作じみたきらいがある。
    対象なき知覚に対して、逆に対象を見出しているのではなかろうか。
    髄液所見の取り下げをお願いします。

  • Dia014:

    psychosis-alienation-anxiety

    Dia.014psychosis - alienation - anxiety

    米良柊子:
    クライアント自身が自己の病名を気にして自力で調べている点からも、彼女自身の病気に対する恐怖は相当なものである。
    「精神病というレッテルを貼られることは、社会的に隔離される」というステレオタイプの一般的概念が、クライアントにも当然ある。
    精神病の一般社会における問題点を、改めて考えさせられた。
    今回のセッションは、クライアントの「病気であることに対する不安」を取り除くための説明に終始した。
    その結果、クライアントとの信頼関係が築けたと思う。

  • Dia015:

    electric wire-hallucination-experience

    Dia.015electric wire - hallucination - experience

    米良柊子:
    主に言語幻聴の症状に関して話をした。
    電線から声が聞こえるといった、俗に言う「電波系」と呼ばれるものだが、聞こえる話の内容が本人と関連がない点で、被害妄想とは異なる。
    物理的影響妄想と分類されるべき内容だが、妄想と呼べるほどの混乱した症状がない。
    電話線や無線電波が具体的な声として変換されて聞こえるという、子供らしい理屈付けをすることで成立している幻聴であり、頭が良く感受性の強い小児に見られる創作の幻覚と言えるだろう。
    しかし幻覚症状が日中に起こることに関しては、極めて特異である。
    特にクライアントが嘘をついているとは思えないが、小児の場合、友人と話している最中に幻覚状態になるケースは極めてまれであるという。
    おそらくは時間や状況の記憶が本人の中で曖昧になり、別な体験と混同しているか、もしくは友人と話していた夢を見ていたのかもしれない。

  • Dia016:

    faith-hatred-apology

    Dia.016faith - hatred - apology

    米良柊子:
    クライアントとの信頼関係が崩壊した。
    原因は私の配慮不足である。
    彼女の現実的恐怖を私の主観的判断で、仮想的な空想として一方的に表現してしまったためである。
    さらに不安を除くため、意図的に軽い調子で言ったのが、いっそう深くクライアントを傷つける結果となった。
    両親への経過報告と、クライアントへの謝罪のため、保護者同伴にて来所を要望する。

  • Dia017:

    client-deterioration-psychomotor

    Dia.017client - deterioration - psychomotor

    米良柊子:
    なんとかクライアントの心をつなぎ止めることができた。
    症状が特に悪化しているわけでもないので、焦らずゆっくりと信頼関係を築いていくことに注力する。

  • Dia018:

    complex-record-alienation

    Dia.018complex - record - alienation

    米良柊子:
    視力の問題に関して本人に伝えた。
    目が良すぎたり、耳が良すぎることから、周囲の人間との比較で自分が普通ではなく、特異な存在であることに対するコンプレックス交じりの不安が、彼女の大きな結実因子である可能性が高い。
    同時に単純な知覚過敏というよりも、神経症患者に出現する既視感にも似た症状が並行してみられる。
    詳細は省くがその時点で知覚されるものに現実感が乏しく、知覚が疎隔されることがあるらしい。
    時間感覚に関しては、クライアントの言葉を信じるなら大きな異常は見られない。
    実際問題、彼女の捉えている景色が本当にそう見えているのかはわからないが、それが身体的異常であろうと、知覚の異常であろうと、自己の過小評価に起因する彼女の自己の疎隔が直らなくては、根本的な解決にはならない。
    離人神経症と直ちには言えないが、以前の幻覚に対する曖昧な認識を合わせて考えると、離人症状に近い状態であると思われる。

  • Dia019:

    self-confidence-intellectual-understanding

    Dia.019self-confidence - intellectual - understanding

    米良柊子:
    自己の過小評価をなくすために、クライアントに自信を持たすように話を進めた。
    未だに表情の動きは乏しく、冷たく硬い表情を示しがちだが、あくまでパーソナリティの範囲であると理解できる。
    知的なクライアントであるため神経を使うが、理解力が高いため、効果は期待できそうである。

  • Dia020:

    interest-worry-position

    Dia.020interest - worry - position

    米良柊子:
    クライアントの興味は、私よりも私の職業に向いている。
    医学知識を学びたいというクライアントの理由は、自身の病気への不安からくる探求心の延長だが、このことが彼女にとって自己を考えるいいリハビリになる可能性もあり、承諾した。
    当然そうした知識から、自己の病気への不安を助長してしまう可能性は否定できないが、現在のクライアントとの関係上、それを避けうることは十分可能と考えられる。